【「働き方改革」VS 「新規事業」の矛盾:新規事業が生まれない理由】
- yuichiro shibata

- 1月10日
- 読了時間: 4分

高度経済成長の頃、とにかく働けばお金になりました。物に満たされていない時代、作れば売れました。作り人、買う人が増え続けるわけですから当然です。経済成長の背景は人口増加で支えられていたと言っても過言ではないでしょう。
世の中にない商品やサービスが数多くあった高度成長期、その多くが新規事業のようなもので、新しい商品やサービスが多産されましたが、その職場環境のほとんどが、今で言うブラック企業です。90年代、Apple社の社員は”週90時間労働を愛している!”というトレーナーを着て開発を行い、日本では「24時間働けますか」というCMが流れていました。
バブル崩壊後、経済成長のピークを超えて余力にも翳りが見え始め、さらに人口が激減していきます。一方で、ワークライフバランスと働き方改革で「ゆるい職場」となるとなっています。働きやすい環境の整備が進むなか、若手社員の仕事の負荷が低減。「成長の機会を得られない」「このままでは他社で通用しなくなる」といった不安の声も上がっています。アンケートによれば20代の4割が職場が「ゆるい」と感じているそうです。

新規事業が生まれた時代の環境が存在しない今、「新規事業をやれ」と言いながら、“ワークライフバランス“を両立させることが可能なのでしょうか?
●働き方改革: 長時間労働の是正を目的とし、従業員一人ひとりの労働時間を短縮し、業務効率化を重視します。
●新規事業: 試行錯誤や非定型な業務が多く、従業員の自律性や柔軟な発想、「やりがい」を伴う集中的な取り組みが求められるため、標準化された働き方とは相容れない側面があります。
“働き方改革“で労働時間を短縮した、ゆるい職場の中で多くの組織はまだ“量的なマネジメント”のまま「新規事業」で“成果”を出せ、というのは矛盾しています。
「新規事業が生まれない」のではなく、「生まれる条件、環境が存在しない」ということです。「働き方改革」や「ワークライフバランス」で仕事の量を減らして新規事業を成功させるには、内発的動機(仕事の自分ごと化)と共に根本的な思考の質(創造力や構想力etc..)と速度を上げ、有能で経験値の高い精鋭を集める必要があります。
その方法について、多くの経営陣は回答を持ちません。なぜなら、彼らの多くは0→1ではなく1→10のスケールビジネスしか経験していないからです。0→1を実現させた人才。つまり創業者はすでに組織に存在しません。
ちなみに、大谷翔平の打率:.282(10回のうち3回弱ヒット)に比べ、新規事業の成功確率:7~10%程度(10回挑戦して1回成功するかどうか)といわれています。新規事業のチャレンジはそれほど難易度が高いにもかかわらず、経験やノウハウのない経営者も多いのが現状です。新規事業の必要性がこれからさらに高まっていきます。
企業は10年先を見据えた長期的な存続計画を今立てなければ手遅れになってしまいます。では、どのようにして新規事業環境を成立させるか、、
①新規事業の優先順位付け: 新規事業を事業戦略上の上位概念として、既存事業の棚卸しをしてアセット(技術・人材・資金)を新規事業に戦略的に投入。
②多様な働き方の導入: 新規事業チームには、裁量労働制やフレックスタイム制など、より柔軟な働き方を選択できる制度を適用し、自律性を尊重。
③学習機会の創出:社外の幅広い知見を得るために業種、業界を超えた体験的学習機会(インプット)を増やし、他業種との接点を増やす。
④専門人材の確保: 必要に応じて、外部からの専門知識を持つ人材登用や業務委託を活用し、内部リソースの不足を補う。
⑤明確な評価制度: 新規事業の特性(長期的な視点や失敗からの学びの重視)を考慮した独自の評価制度を構築し、従業員の意欲向上を図る。
⑥デジタル技術の活用: 業務効率化ツールやコラボレーションツールを導入し、生産性の向上と同時にコミュニケーションの円滑化の推進。今必要とされているのは「働き方」よりも「働きがい」ではないでしょうか?有能なマネジメントと、時には外部のサポートを得て若手に成長機会を与え、柔軟な職場環境を整備し、既存の企業カルチャー自体を変革していく。こういった方針を早期に対応することが求められています。



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